不眠症とは

不眠症は今や生活習慣病と言われています。日本人は世界で一番睡眠時間が少ない国民と言われています。
人はなぜ眠るのか?我々は人生の1/3は寝ているのです。睡眠の役割は、脳を創る・育てる・守る・昼間ストレスで傷ついた神経細胞を修復し、脳疲労を回復することです。
その為にはまず皆さんが考えている睡眠への「誤認」をとくことが必要です。我々は40歳をピークに成長ホルモンの分泌が低下し、平均的睡眠時間は4.34時間になります。そして疲れているからといって早く寝て「体だけでも休ませる」という考えは逆効果になります。
布団に入っても眠れない、これが続くと条件反射のように「ベッド=眠れない」となってしまいます。ですから夜8時から10時は睡眠禁止帯と呼ばれています。

更に今の皆さんの生活に欠かせないスマートフォン、これを布団の中でみていることで光刺激による覚醒レベルがあがり、益々入眠しづらくなります。

また寝酒という日本語も大いなる「誤解」です。アルコールを頼りに寝付いた睡眠はその後ずっと浅い睡眠脳波が続き、深睡眠となりません。

喫煙者の方の中には寝る前の一服がリラックスタイムというかたもいらっしゃいますが、たばこに含まれるニコチンは覚醒刺激なので入眠の妨げになります。
以上これらが、不眠症が生活習慣病と言われる所以です。

不眠症は大きく3つのタイプに分類されます。

入眠障害(入眠困難)

不眠症の中で最も多いタイプで、寝つきが悪く、寝床に就いても30分以上寝つけない状態を言います。この場合、ストレス、不安・緊張など心理的要因によって起きやすいと言われています。脚がムズムズして寝付けない、ムズムズ脚症候群も含まれます。

中途覚醒

寝つきはスムーズですが、就寝中に2-3時間ごとに頻繁に目が覚めるため、熟睡感が得られにくく、翌日の日常生活に影響が出ることもあります。

早朝覚醒

起床予定時刻よりも2時間以上早く目が覚めてしまい、その後は起きる時間まで眠れない状態が続きます。高齢者やうつ病の患者様によくみられるタイプでもあります。

治療について

不眠症を治療する場合、薬物を用いる場合(薬物療法)に加え、前述した睡眠衛生ということを徹底し、日頃の生活習慣を見直すことが大変大事です。
現在では依存性のない新薬も開発され、自然の睡眠を促し、必要最低限の薬物療法で睡眠が確保できていれば、それが不眠治療のゴールです。

また生活習慣の改善に関しては、朝の時間帯に太陽の光を浴びる、昼寝は40分までとする、夕方4時以降のカフェインの摂取は控える、土日だからといって昼過ぎまで寝てしまわない、といった休日の過ごし方も大事です。

このように質の良い睡眠をとることで、昼間パフォーマンスよく活動ができ、ひいては認知症の予防にもつながっていきます。